キャリアアップ助成金(正社員化コース)よくある質問30選【2026年最新版】
非正規雇用から正社員への転換を支援するキャリアアップ助成金(正社員化コース)。申請を検討する企業から寄せられる疑問を30問のQ&A形式で徹底解説します。
基本編(Q1〜Q6)
Q1. キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは何ですか?
A. 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員に転換または直接雇用した事業主に支給される助成金です。厚生労働省が管轄しており、非正規雇用の処遇改善と正社員化を促進することを目的としています。
Q2. 支給額はいくらですか?
A. 転換パターンと企業規模により異なります。
| 転換パターン | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 有期→正規 | 80万円 | 60万円 |
| 無期→正規 | 40万円 | 30万円 |
※1年度1事業所あたり20人まで申請可能です。
Q3. 中小企業の定義は?
A. 業種により異なります。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
いずれかを満たせば中小企業に該当します。
Q4. 申請から支給までどのくらいかかりますか?
A. 一般的に申請から4〜6ヶ月程度です。ただし、申請書類に不備がある場合や審査が混雑している時期は、さらに時間がかかることがあります。正社員転換後6ヶ月経過してから申請できるため、転換から支給まで全体で約1年を見込んでください。
Q5. 年度途中でも申請できますか?
A. はい、年度途中でも申請可能です。ただし、キャリアアップ計画書の事前提出が必要なため、正社員転換を行う前に計画書を労働局に提出しておく必要があります。
Q6. 他の助成金と併用できますか?
A. 原則として、同一の労働者・同一の経費について他の助成金との併用はできません。ただし、異なる労働者や異なる取り組みであれば、人材開発支援助成金など他の助成金と組み合わせて活用できる場合があります。
対象者編(Q7〜Q12)
Q7. どのような労働者が対象になりますか?
A. 以下の条件を満たす労働者が対象です。
- 有期雇用労働者として6ヶ月以上雇用されていること
- 正社員として雇用されることが約束されていないこと
- 転換日の前日から過去3年以内に、当該事業主に正社員として雇用されていないこと
- 転換日の前日から過去3年以内に、当該事業所で正社員への転換を受けていないこと
Q8. 派遣労働者も対象になりますか?
A. はい、派遣労働者を派遣先で直接雇用(正社員として)する場合も対象になります。この場合、派遣期間が6ヶ月以上あることが条件です。派遣元ではなく、派遣先の事業主が申請者となります。
Q9. パート・アルバイトは対象ですか?
A. はい、有期雇用のパート・アルバイトであれば対象となります。ただし、無期雇用のパート・アルバイトの場合は「無期→正規」の転換として申請することになり、支給額が半額になります。
Q10. 試用期間中の従業員は対象外ですか?
A. 正社員としての試用期間は問題ありません。ただし、有期雇用期間が6ヶ月未満の場合は対象外となります。有期雇用で6ヶ月以上勤務した後に正社員転換し、その後の試用期間は支給対象となります。
Q11. 事業主の親族は対象になりますか?
A. いいえ、対象外です。事業主の3親等以内の親族、および事業主と生計を一にする者は対象になりません。同居の有無に関わらず、親族関係がある場合は申請できません。
Q12. 過去に退職した元従業員を再雇用した場合は?
A. 退職から3年以上経過していれば対象となる可能性があります。ただし、過去に正社員として雇用されていた場合は、退職からの期間に関わらず対象外となります。
申請手続き編(Q13〜Q20)
Q13. 申請に必要な書類は何ですか?
A. 主な必要書類は以下の通りです。
1. キャリアアップ助成金支給申請書
2. 正社員化コース内訳書
3. 支給要件確認申立書
4. キャリアアップ計画書(写し)
5. 労働条件通知書または雇用契約書(転換前後)
6. 賃金台帳(転換前6ヶ月分+転換後6ヶ月分)
7. 出勤簿またはタイムカード
8. 就業規則または労働協約
9. 登記事項証明書
Q14. キャリアアップ計画書とは何ですか?
A. 非正規雇用労働者のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるための計画書です。正社員転換を行う前に、管轄の労働局に提出・認定を受ける必要があります。計画期間は3年以上5年以内で設定します。
Q15. 計画書の提出期限はありますか?
A. 正社員転換を行う日の前日までに提出が必要です。転換後に計画書を提出しても認められませんので、余裕を持って1ヶ月前までに提出することをお勧めします。
Q16. 就業規則の整備は必須ですか?
A. はい、必須です。就業規則に「正社員転換制度」を明記し、労働基準監督署に届け出る必要があります。常時10人未満の事業所でも、この助成金を申請する場合は就業規則の作成・届出が必要です。
Q17. 就業規則に何を記載すればよいですか?
A. 以下の内容を記載してください。
- 正社員転換の対象者の範囲
- 転換の時期(年〇回など)
- 転換の手続き(試験・面接など)
- 転換後の労働条件
厚生労働省のモデル就業規則を参考にすることをお勧めします。
Q18. 申請はどこに行いますか?
A. 事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に申請します。ハローワークではありませんのでご注意ください。郵送での申請も可能です。
Q19. 申請期限はいつですか?
A. 正社員転換後、6ヶ月分の賃金を支払った日の翌日から2ヶ月以内に申請する必要があります。この期限を過ぎると申請できませんので、カレンダーで管理することをお勧めします。
Q20. 電子申請はできますか?
A. はい、e-Gov(電子政府の総合窓口)を通じて電子申請が可能です。ただし、事前にGビズIDの取得が必要です。電子申請を利用すると、窓口に行く手間が省け、申請状況の確認もオンラインでできます。
金額・支払い編(Q21〜Q26)
Q21. 加算措置はありますか?
A. はい、以下の場合に加算があります。
| 加算項目 | 加算額(中小企業) |
|---|---|
| 派遣労働者を直接雇用 | +28.5万円 |
| 母子家庭の母等 | +9.5万円 |
| 人材開発支援助成金の訓練修了者 | +9.5万円 |
| 正社員転換制度を新たに規定 | +20万円(1回限り) |
Q22. 支給は一括ですか?分割ですか?
A. 一括支給です。審査完了後、指定の口座に一括で振り込まれます。
Q23. 支給金は課税対象ですか?
A. はい、課税対象です。法人の場合は益金として、個人事業主の場合は事業所得として計上する必要があります。消費税は不課税です。
Q24. 不支給になるケースは?
A. 主な不支給事由は以下の通りです。
- 転換前の6ヶ月間に解雇等を行っている
- 転換後6ヶ月間の賃金が転換前より5%以上上昇していない
- 申請時点で対象労働者が離職している
- 労働関係法令に違反している
- 残業代の未払いがある
Q25. 賃金5%アップの計算方法は?
A. 以下の計算式で確認します。
(転換後6ヶ月の賃金合計 − 転換前6ヶ月の賃金合計)÷ 転換前6ヶ月の賃金合計 × 100 ≧ 5%
賞与、時間外手当、休日手当、歩合給などは計算から除外します。基本給と諸手当(固定的なもの)で計算してください。
Q26. 複数人を同時に申請できますか?
A. はい、可能です。1回の申請で複数人分をまとめて申請できます。ただし、1年度1事業所あたり20人が上限です。
トラブル対応編(Q27〜Q30)
Q27. 申請が却下された場合、再申請できますか?
A. 却下理由によります。書類の不備であれば、修正して再申請できます。ただし、申請期限を過ぎている場合は、その労働者について再申請はできません。次回の正社員転換で改めて申請してください。
Q28. 転換後に対象者が退職した場合は?
A. 転換後6ヶ月以内に自己都合退職した場合は不支給となります。6ヶ月経過後の退職であれば、既に申請している分は支給対象となります。なお、会社都合退職(解雇)の場合は、6ヶ月経過後でも不支給となる可能性があります。
Q29. 不正受給が発覚した場合は?
A. 以下のペナルティがあります。
- 支給済み助成金の全額返還
- 返還額に加えて延滞金(年3%)
- 5年間、すべての雇用関係助成金が申請不可
- 悪質な場合は詐欺罪で刑事告発
書類の虚偽記載や、実態と異なる申請は絶対に行わないでください。
Q30. 社会保険労務士に依頼した方がよいですか?
A. 以下のような場合は、社会保険労務士への依頼をお勧めします。
- 初めて申請する場合
- 就業規則の整備が必要な場合
- 複数人を申請する場合
- 他の助成金と組み合わせたい場合
社労士への報酬は一般的に成功報酬10〜20%程度です。自社で申請する場合は、厚生労働省のパンフレットを熟読することをお勧めします。
まとめ
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、非正規雇用の正社員化を促進する重要な制度です。申請にあたっては以下の点を押さえておきましょう。
申請成功のポイント
1. 事前準備を万全に - キャリアアップ計画書は転換前に提出
2. 就業規則を整備 - 正社員転換制度を明記
3. 賃金5%アップを確認 - 基本給ベースで計算
4. 期限を厳守 - 転換後6ヶ月+2ヶ月以内に申請
5. 書類を正確に - 不備があると審査が長引く
ご不明な点は、管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。
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