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母の介護と仕事の狭間で〜IT企業の人事課長が見つけた「両立支援等助成金」という希望

公開: 2026年1月7日更新: 2026年1月7日
#両立支援等助成金#介護離職防止#介護休業#ストーリー#中小企業

母の介護と仕事の狭間で〜IT企業の人事課長が見つけた「両立支援等助成金」という希望

※本記事はフィクションです

登場する人物・企業名はすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。助成金の制度内容は実際の情報に基づいていますが、具体的な申請については最新の公式情報をご確認ください。


プロローグ:突然の電話

「お母様が転倒されて、救急搬送されました」

東京・渋谷のITベンチャー、株式会社テックブリッジで人事課長を務める佐藤美咲(42歳)は、会議中にかかってきた電話に凍りついた。

大阪で一人暮らしをしていた母(72歳)が、自宅で転倒し大腿骨を骨折。手術は成功したものの、医師からは「今後は介護が必要になるでしょう」と告げられた。


第1章:「介護離職」という現実

3週間後——

美咲は、週末ごとに東京から大阪へ新幹線で通う生活を始めていた。

「佐藤さん、最近顔色悪いけど大丈夫?」

同僚の言葉に、美咲は力なく笑った。

平日は深夜まで仕事。金曜の夜に新幹線に飛び乗り、土日は母の介護。日曜の最終で東京に戻り、月曜からまた仕事。この生活が1ヶ月続き、心身ともに限界が近づいていた。

「もう…辞めるしかないのかな」

美咲の頭に「介護離職」という言葉がよぎる。


第2章:人事課長としての葛藤

実は美咲自身、人事として「介護離職」の問題は把握していた。

毎年、数名の社員が「親の介護」を理由に退職していく。その度に「何かできなかったのか」と悔やんでいた。

「私が辞めたら、部下たちに示しがつかない…」

でも、現実は厳しい。

  • 介護休業を取れば、その間の収入が減る
  • 時短勤務にすれば、昇進の道が閉ざされる
  • 在宅勤務を増やすにも、管理職としての責任がある

「両立なんて、本当にできるの…?」


第3章:経営者の決断

ある日、美咲は意を決して鈴木社長(55歳)に相談した。

「社長、実は母の介護で…」

事情を話すと、鈴木社長は静かに頷いた。

「佐藤さん。君がいなくなったら、うちの人事は回らない。何か方法を考えよう」

「でも、介護休業を取ると業務が…」

介護離職を出すような会社にはしたくない。それが私の考えだ」

鈴木社長は続けた。

「実は、私も10年前に父の介護を経験した。あの時は制度も整っていなくて、妻に全部任せてしまった。今でも後悔している」


第4章:「両立支援等助成金」との出会い

翌日、鈴木社長から連絡があった。

「佐藤さん、ちょっと調べてみたんだが、『両立支援等助成金』というのがあるらしい」

社長が見せてくれた資料には、「介護離職防止支援コース」の文字があった。

【両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の概要】

項目内容
対象介護支援プラン作成・介護休業取得等を行う事業主
支給額最大60万円(休業取得時・復帰時各30万円)
要件介護支援プランの作成、介護休業の取得実績など
管轄厚生労働省(雇用保険適用事業所が対象)

「会社が介護支援の制度を整えて、実際に社員が利用すると助成金がもらえるんだ」

美咲の目が輝いた。これなら、会社にとっても自分にとっても良い形で両立できるかもしれない。


第5章:介護支援プランの作成

美咲は人事課長として、自社初の「介護支援プラン」を作成することになった。皮肉にも、最初の適用者は自分自身だ。

【テックブリッジ社で導入した制度】

1. 介護休業制度:最大93日まで取得可能
2. 介護短時間勤務:最大3年間利用可能
3. 在宅勤務制度:介護を理由とした在宅勤務を明文化
4. 介護相談窓口:外部の専門家と連携

「介護支援プランを作るって、こんなに大変なんですね…」

でも、自分が経験したからこそ、本当に使いやすい制度が何かがわかった。


第6章:申請、そして承認

介護支援プランが完成し、美咲は正式に介護休業を申請。2週間の休業を取得し、大阪で母の介護体制を整えることにした。

申請手続きでは、以下の流れで進めた。

【申請の流れ】

1. 介護支援プランを策定
2. 社員に制度を周知
3. 対象社員と面談を実施
4. 介護休業を取得
5. 復帰後も継続的にフォロー
6. 労働局へ助成金を申請

3ヶ月後——

労働局から通知が届いた。

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)30万円の支給決定

美咲は思わず涙ぐんだ。お金だけじゃない。会社として、介護と仕事の両立を支援する姿勢が認められた気がした。


第7章:変化する会社の空気

美咲が介護休業を取得したことは、社内で大きな反響を呼んだ。

「人事課長が堂々と介護休業を取ったんだ」
「うちの会社、こういう制度あったんだね」
「俺も親のこと心配だったから、相談してみようかな」

これまで言い出せなかった社員が、少しずつ声を上げ始めた。

そして半年後——

「佐藤さん、報告があります」

別の社員から介護休業の申請があった。今度はスムーズに対応できた。

会社の制度は、誰かが最初に使わないと、誰も使えない

美咲は身をもってそれを証明した。


エピローグ:母と娘、そして新しい日常

現在、美咲は週1回の在宅勤務と、月1回の大阪訪問で母の介護を続けている。

大阪には訪問介護とデイサービスの体制が整い、母も新しい生活に慣れてきた。

「美咲、無理しないでね」

「お母さんこそ、リハビリ頑張ってね」

東京と大阪、離れていても親子の絆は変わらない。

そして美咲は今日も、人事課長として社員の「両立」を支援している。


両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)まとめ

項目内容
対象事業主介護支援プランを作成し、介護休業等を取得させた事業主
主な要件①介護支援プランの作成 ②介護休業(5日以上)の取得 ③職場復帰後の継続勤務
支給額休業取得時30万円+復帰時30万円=最大60万円
申請先都道府県労働局
注意点プラン作成→休業取得→復帰の順番を守ること

ポイント:この助成金は「介護離職を防ぐ」ことが目的。会社が制度を整え、社員が安心して介護に向き合える環境を作ることで、双方にメリットがあります。


「介護離職」を選ぶ前に、まずは助成金制度を調べてみませんか?

あなたの会社にも、きっと活用できる制度があるはずです。

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