【2026年3月末締切】106万円の壁対策!社会保険適用時処遇改善コースで最大50万円受給する方法
この記事でわかること
- 106万円の壁とは何か、なぜ2026年が重要なのか
- 社会保険適用時処遇改善コースで最大50万円を受給する具体的な方法
- 飲食店(居酒屋)での金額シミュレーションと収支計算
- 不採択になる3つのパターンと確実に避ける対策
はじめに:2026年3月31日締切、今すぐ動かないと間に合いません
「パートさんの社会保険料、会社が半分負担することになるんですか?」
「手取りが減るって聞いて、辞めたいと言われました…」
2024年10月から従業員51人以上の企業に拡大された社会保険の適用。
2026年10月からは従業員数に関係なく、週20時間以上働くパート・アルバイトも社会保険加入が必要になります。
飲食店経営者にとって、これは死活問題です。
パート15名を抱える居酒屋であれば、年間で約270万円の社会保険料負担増。
しかも、手取りが減ることを理由にベテランパートの離職リスクも高まります。
でも、諦めるのは早いです。
国は「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」という制度を用意しています。
この助成金を活用すれば、1人あたり最大50万円、パート15名なら最大750万円の助成金を受給できる可能性があります。
ただし、2026年3月31日が申請締切です。
計画届の提出から実際の取り組み開始まで、準備期間が必要です。
この記事を読み終わる頃には、明日から何をすべきか明確になっています。
ぜひ最後までお読みください。
3分でわかる「106万円の壁」と社会保険適用拡大
106万円の壁とは?
「106万円の壁」とは、年収が106万円を超えると社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が発生するラインのことです。
具体的には、以下のすべてに該当する人が対象となります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 週の労働時間 | 20時間以上 |
| 月額賃金 | 8.8万円以上(年収約106万円) |
| 雇用期間 | 2ヶ月超の見込み |
| 学生 | 学生ではない |
| 勤務先規模 | 従業員51人以上(2024年10月〜) |
2026年10月からの大きな変更点
2026年10月以降は、勤務先の従業員規模要件が撤廃されます。
つまり、従業員20名の飲食店でも、上記条件を満たすパートは社会保険加入が必須になります。
週20時間以上働くパートさんがいれば、ほぼ全員が対象と考えてください。
事業主の負担はどれくらい増える?
社会保険料は、労使折半です。
月収10万円のパートの場合、毎月約1.5万円が事業主負担として新たに発生します。
| 項目 | 料率(事業主負担分) | 月額負担(月収10万円の場合) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 約5.0% | 約5,000円 |
| 厚生年金保険料 | 9.15% | 約9,150円 |
| 合計 | 約14.15% | 約14,150円 |
年間に換算すると、1人あたり約17万円の負担増です。
社会保険適用時処遇改善コースとは?
制度の概要
「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」は、短時間労働者の社会保険加入に伴い、手取り収入を減らさない取り組みを行った事業主に支給される助成金です。
2023年10月に新設された比較的新しいコースで、2026年3月31日までの時限措置となっています。
助成金額
| メニュー | 助成額(中小企業) | 期間 |
|---|---|---|
| 手当等支給メニュー | 最大40万円/人 | 最大3年間 |
| 労働時間延長メニュー | 10万円/人 | 1回 |
| 併用メニュー | 最大50万円/人 | 最大3年間+1回 |
中小企業の飲食店であれば、1人あたり最大50万円の助成金が受給可能です。
3つのメニューの違い
#### 1. 手当等支給メニュー(最大40万円/人)
社会保険加入に伴い、賃金の増額または社会保険適用促進手当の支給を行うメニューです。
- 1年目:賃金の15%以上増額 → 20万円
- 2年目:賃金の15%以上増額 → 20万円
- 3年目以降:賃金の18%以上増額で上乗せ
ポイント: 「社会保険適用促進手当」という新しい手当を設けることで、基本給を上げずに対応できます。
#### 2. 労働時間延長メニュー(10万円/人)
週の所定労働時間を4時間以上延長し、社会保険に加入させたときに支給されます。
賃金の増額がなくても、労働時間の延長だけで受給可能です。
#### 3. 併用メニュー(最大50万円/人)
手当等支給メニューと労働時間延長メニューを組み合わせることで、最大額を受給できます。
【居酒屋シミュレーション】パート15名でいくらもらえる?
ここからは、実際の飲食店(居酒屋)を想定したシミュレーションを見ていきましょう。
前提条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 居酒屋(飲食業) |
| 従業員数 | 正社員5名、パート15名 |
| パートの平均時給 | 1,200円 |
| パートの平均労働時間 | 週22時間 |
| パートの平均月収 | 約11.4万円(時給1,200円×22時間×4.3週) |
シミュレーション1:手当等支給メニューのみ
パート15名全員に「社会保険適用促進手当」を月額1.8万円(賃金の約16%)支給する場合。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 助成金(1年目) | 20万円 × 15名 = 300万円 |
| 助成金(2年目) | 20万円 × 15名 = 300万円 |
| 助成金合計 | 600万円 |
| 手当支給コスト(2年間) | 1.8万円 × 24ヶ月 × 15名 = 648万円 |
| 実質負担 | 48万円(助成金でほぼカバー) |
社会保険料の事業主負担(年間約255万円)を考えると、2年分の手当コストがほぼ助成金でカバーされる計算です。
シミュレーション2:併用メニュー(最大受給)
パート15名のうち、10名は手当支給メニュー、5名は週4時間労働時間を延長できる場合。
| 対象者 | メニュー | 助成金額 |
|---|---|---|
| パート10名 | 手当等支給(2年間) | 40万円 × 10名 = 400万円 |
| パート5名 | 併用(手当+労働時間延長) | 50万円 × 5名 = 250万円 |
| 合計 | - | 650万円 |
労働時間の延長が可能なパートがいれば、さらに助成額が上乗せされます。
3年間の収支比較表
| 項目 | 助成金なし | 助成金あり(シミュレーション2) |
|---|---|---|
| 社会保険料負担(3年間) | 765万円 | 765万円 |
| 処遇改善コスト(3年間) | 0円 | 972万円 |
| 助成金収入 | 0円 | 650万円 |
| 実質負担 | 765万円 | 1,087万円 |
| パート離職リスク | 高い | 低い |
| 従業員満足度 | 低下 | 向上 |
一見すると実質負担が増えるように見えますが、パートの離職による採用・教育コスト(1人あたり30〜50万円)を考慮すると、長期的には処遇改善の方が有利です。
対象者チェックリスト
事業主の要件
以下のすべてに該当する必要があります。
- [ ] 雇用保険適用事業所である
- [ ] キャリアアップ計画を作成し、労働局に提出済み
- [ ] 対象労働者に対して6ヶ月以上の賃金を支払っている
- [ ] 過去にキャリアアップ助成金の不正受給をしていない
- [ ] 労働関係法令を遵守している(未払い残業代がない等)
- [ ] 支給申請日時点で事業を継続している
対象労働者の要件
以下のすべてに該当する労働者が対象です。
- [ ] 雇用保険被保険者である
- [ ] 新たに社会保険の被保険者となった
- [ ] 社会保険加入後、6ヶ月以上継続して雇用されている
- [ ] 処遇改善(賃金増額または労働時間延長)が行われた
- [ ] 事業主の3親等以内の親族ではない
こんな場合は対象外
以下に該当すると、助成金は受給できません。
| 対象外ケース | 理由 |
|---|---|
| すでに社会保険に加入していた人 | 「新たに」加入することが要件 |
| 有期契約で6ヶ月未満の雇用見込み | 雇用継続要件を満たさない |
| 事業主の配偶者 | 親族は対象外 |
| 解雇予定の労働者 | 適正な雇用管理が認められない |
| 賃金台帳・出勤簿が整備されていない事業所 | 書類不備で申請不可 |
申請ステップ【5ステップで完結】
ステップ1:キャリアアップ計画書の作成・提出
所要期間: 1〜2週間
まず「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の労働局またはハローワークに提出します。
注意: 計画書の提出は、取り組み開始前に行う必要があります。
提出後に取り組みを開始しないと、助成金は支給されません。
ステップ2:就業規則の整備・届出
所要期間: 2〜4週間
「社会保険適用促進手当」を支給する場合は、就業規則(または賃金規程)への明記が必要です。
就業規則を変更したら、労働基準監督署への届出を行います。
従業員10人未満の事業所でも、助成金申請には届出済みの就業規則が求められます。
ステップ3:処遇改善の実施
所要期間: 6ヶ月以上
対象労働者に対して、以下のいずれかを実施します。
- 賃金の15%以上増額
- 社会保険適用促進手当の支給(賃金の15%以上相当)
- 週所定労働時間の4時間以上延長
重要: この処遇改善は、6ヶ月以上継続する必要があります。
ステップ4:支給申請書の作成・提出
所要期間: 1〜2週間
6ヶ月間の処遇改善が終わったら、支給申請書を作成します。
申請期限: 6ヶ月経過後、2ヶ月以内に申請
必要書類:
- 支給申請書
- 賃金台帳(6ヶ月分)
- 出勤簿(6ヶ月分)
- 雇用契約書
- 就業規則(賃金規程)
- 社会保険加入を証明する書類
ステップ5:審査・支給決定
所要期間: 2〜4ヶ月
労働局による審査を経て、問題がなければ支給決定通知が届きます。
その後、指定口座に助成金が振り込まれます。
スケジュール逆算表(2026年3月末締切の場合)
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 2025年9月まで | キャリアアップ計画書を提出 |
| 2025年10月 | 就業規則を整備・届出 |
| 2025年10月〜2026年3月 | 処遇改善を6ヶ月間実施 |
| 2026年4〜5月 | 支給申請書を提出 |
| 2026年7〜9月頃 | 助成金入金 |
今から動けば、まだ間に合います。
ただし、計画書の提出から取り組み開始まで最低1ヶ月は見ておくべきです。
不採択になる3つのパターンと対策
助成金申請の約30%は不採択になると言われています。
ここでは、よくある失敗パターンと対策を解説します。
パターン1:計画書を出す前に取り組みを始めてしまった
失敗例:
「来月からパートさんに手当を出すことにした。計画書は後から出せばいいよね」
なぜダメか:
キャリアアップ助成金は、計画届出後に開始した取り組みのみが対象です。
届出前に始めた取り組みは、すべて対象外となります。
対策:
- 処遇改善の実施前に、必ず計画書を提出する
- 計画書の受理日を確認してから取り組みを開始する
- 「とりあえず出しておく」でOK。計画書の内容は後から変更可能
パターン2:就業規則に手当の記載がない
失敗例:
「社会保険適用促進手当を口頭で約束して支給していた」
なぜダメか:
助成金の審査では、就業規則(賃金規程)に手当の支給根拠が明記されているか確認されます。
口頭での約束や、個別の雇用契約書のみでは不十分です。
対策:
- 就業規則に「社会保険適用促進手当」の条項を追加する
- 手当の支給対象者、金額、支給期間を明記する
- 従業員10人未満でも、労働基準監督署に届出を行う
パターン3:賃金増額の計算方法を間違えている
失敗例:
「時給を100円上げたから15%増額になっているはず」
なぜダメか:
15%増額の計算には、細かいルールがあります。
例えば、残業代や通勤手当は計算基礎に含まれません。
よくある計算ミス:
| 項目 | 計算に含まれる? |
|---|---|
| 基本給 | ○ |
| 職務手当 | ○ |
| 残業代 | × |
| 通勤手当 | × |
| 賞与 | × |
対策:
- 「標準報酬月額」を基準に15%以上の増額を確認する
- 不安な場合は、労働局の窓口で事前相談する
- 余裕を持って16〜17%の増額を目指す
番外編:書類の保管期間が足りない
助成金の審査では、過去の賃金台帳や出勤簿が必要です。
これらの書類は5年間の保管義務があります。
書類が揃わないと、そもそも申請ができません。
今のうちから、紙またはデータで確実に保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. パートが社会保険に入りたくないと言っています。強制できますか?
A1. 法律上の加入要件を満たす場合、社会保険への加入は事業主と労働者双方の義務です。
「入りたくない」という意向を尊重することはできません。
ただし、労働時間を週20時間未満に減らすなど、加入要件を満たさない働き方に変更することは可能です。
その場合、助成金の対象からは外れます。
Q2. 社会保険適用促進手当は、ずっと払い続ける必要がありますか?
A2. 助成金の要件上は、6ヶ月以上の継続が求められます。
ただし、「社会保険適用促進手当」は、最大2年間を目処に基本給に組み込むことが想定されています。
3年目以降は、通常の賃金として基本給に含める形が一般的です。
いきなり手当を廃止すると不利益変更となるため、段階的な移行を計画しましょう。
Q3. 正社員も対象になりますか?
A3. いいえ、短時間労働者のみが対象です。
このコースは「新たに社会保険に加入した短時間労働者」を対象としています。
もともとフルタイムで社会保険に加入している正社員は対象外です。
Q4. 他の助成金と併用できますか?
A4. 一部の助成金とは併用可能です。
同じ労働者に対して、以下の助成金と組み合わせることができます。
| 助成金 | 併用可否 |
|---|---|
| 業務改善助成金 | ○ |
| キャリアアップ助成金(他コース) | 一部○ |
| 人材開発支援助成金 | ○ |
| 雇用調整助成金 | × |
ただし、「同一の取り組みに対する二重受給」は認められません。
詳細は労働局に確認することをおすすめします。
Q5. 申請を社労士に依頼するといくらかかりますか?
A5. 一般的には、助成金額の10〜20%が相場です。
例えば、600万円の助成金を受給する場合、60〜120万円の報酬が発生します。
「成功報酬型」であれば、受給できなかった場合は費用がかからないケースが多いです。
自社で申請する場合は費用はかかりませんが、書類作成や手続きに相当の時間が必要です。
まとめ:2026年3月末までに動くかどうかで、750万円の差がつく
社会保険適用拡大は、すべての飲食店経営者に影響します。
何も対策しなければ:
- 年間数百万円の社会保険料負担増
- パートの手取り減少による離職リスク
- 採用・教育コストの増大
社会保険適用時処遇改善コースを活用すれば:
- 最大50万円/人の助成金で負担を軽減
- パートの手取りを維持して離職を防止
- 処遇改善による従業員満足度向上
ただし、2026年3月31日が締切です。
計画書の提出から取り組み開始まで、最低でも1〜2ヶ月は必要です。
今すぐ動き始めることが、助成金受給の第一歩です。
今すぐできる3つのアクション
1. 対象パートのリストを作成する(所要時間:30分)
週20時間以上働いているパートをリストアップしてください。
氏名、週の労働時間、月収、現在の社会保険加入状況を一覧にします。
2. 労働局の窓口に事前相談を予約する(所要時間:10分)
管轄の労働局または最寄りのハローワークに電話し、「キャリアアップ助成金の事前相談をしたい」と伝えてください。
自社が対象になるか、必要書類は何かを確認できます。
3. 助成金データベースで条件に合う助成金を探す(所要時間:5分)
参考リンク
*この記事は2026年1月時点の情報に基づいています。制度内容は変更される可能性がありますので、最新情報は厚生労働省の公式サイトをご確認ください。*